更新日 2025年8月27日
車をローンで購入する際に、残価設定型ローン(残クレ)とマイカーローンの支払総額を比較できるシミュレーションです。
マイカーローンは銀行を利用できても、残価設定型ローン(残クレ)は自動車販売店での契約になる場合もあるので、それぞれの金利や返済期間を入力できます。
残価設定ローン(残クレ)はなぜダメなの?マイカーローンよりコスパが悪い
残価設定ローン(残クレ)は、契約時にあらかじめ数年後の車の価値を設定し、その金額を差し引いて月々の支払額を計算するだけなので、総支払額が安くなるわけではありません。
ディーラーや中古車販売店では「月々の支払いが安い」と勧められますが、利息は残価を含む車両価格全体にかかるため、マイカーローンより支払い総額が多くなる場合も。

さらに、走行距離の上限やカスタマイズできないなどの条件が付き、所有していても自由に使えない制約があります。
設定されている残価の利息も支払う必要がある
残価設定ローンは、設定した残価を除いた金額を支払えば良いと思われがちですが、そうではありません。
実は、最後に残した支払い分にも金利は発生しており、その利息は毎月の支払いに含まれています。
たとえば、300万円の車を残価100万円、5年ローンで買った場合、支払いは200万円に対するローンのように見えますが、実際は300万円の全額に対して金利がかかっています。
月々の負担は抑えられますが、同じ金利・同じ返済期間で比べると残価を抱えたまま返済するぶん利息の総額は通常のマイカーローンより大きくなりやすいです。
残価を設定せずあらかじめ残価分を差し引いた金額だけを借りればよいと考えがちですが、これは残価設定ではなくただの値引きと同じになり、ディーラーにとってメリットがなくなってしまいます。
残価設定ローンは、車の価格全額を借りてもらい月々の支払いを抑える代わりに、据え置いた残価にも金利をかけて最終的な利益を確保しているのです。
契約満了時に追加の支払いが発生する場合がある
残価設定ローン(残クレ)は、契約満了後に「車両の返却」「他の車に乗り換え」「残価を支払って買い取り」という3つの選択肢がありますが、どれを選んでも制約や追加費用が発生する可能性があります。
今まで乗ってきた車を返却する場合、走行距離や車両状態が契約時に定めた基準を超えていると、残価との差額を精算する追加料金を支払うことになります。
他の車に乗り換えは新しい車を同じ販売店で購入することを前提としているため、実質的にディーラーや中古車販売店に囲い込まれてしまい、他社の車に乗り換えるのは難しいでしょう。
設定されている残価を支払って買い取る場合は、一括で支払うか再びローンを組むことになり、金利が発生するため支払い総額が膨らみます。
途中解約は残価精算と差額負担が避けられない
残価設定クレジットは、車の将来の価値を残価として差し引き、その分だけ月々の支払いを少なくする仕組みなので、途中で解約するには通常のローン残高に加えて最終的に支払う予定だった残価分までまとめて精算しなければなりません。
解約時に車の査定額が残価を下回っている場合や、契約した走行距離の超過、キズ・へこみなどがあると、その差額や追加の清算金が発生します。
残価設定クレジットを解約するときの支払い方法は以下のとおり。
- 現金で精算
- ローンの借り換え
- 車の返却
現金での精算は、残価を含めたローン未払い分を一括で現金で支払う方法です。
車の所有権が自分に移るので、いずれ車を売却したり乗り続けたりするなど自由に扱えるようになります。
新たなローンへの借り換えは金利が下がるなどの利点はありますが、返済期間を長くする目的で借り換えると利息が増える可能性も。
ローン残高がある状態で新たなローンを申し込むと、収入に対する返済負担率が高いと判断され審査が厳しくなるため、借り換えに前向きな金融機関を選ぶようにしましょう。
車の返却は、ディーラーや金融機関に車を返すことで契約を終える方法です。
ただし、前述のように車の状態によって追加で清算金を求められることがあります。
ディーラーが残価設定クレジットを勧めるのは販売戦略の側面がある
- 新車の販売台数が伸びる
- リピーターに新しい車を売れる
- 返却車両で中古車の在庫を確保
- 整備・点検の囲い込み
- 利息による収益の向上
ディーラーが残価設定型クレジットを積極的にすすめるのは、顧客が月々の支払いを軽く感じられることで、高額な新車でも購入しやすくなり、販売台数を増やせるからです。
契約が満了すれば返却や乗り換えのタイミングで再び来店が見込めるため、新しい車をリピーターに販売しやすくなります。
返却された車両は走行距離や使用期間が制限されているため状態が良いことが多く、価値の高い中古車の在庫を安定して確保できます。
また、販売時には「メンテナンスパック」などの定期点検を組み合わせるケースが多く、整備や車検もディーラーに任せてもらいやすくなり、販売後も顧客をつなぎとめる仕組みが整います。
定期点検がセットになった例
スズキ安心メンテナンスパック付き
引用元:スズキ残価設定クレジット「かえるプラン」
据え置かれた残価にも利息がかかるため、ディーラーや提携する金融会社は現金販売よりも安定した収益を確保できます。

鈴木自工は車検のコバック、新車販売のジョイカル、車買取専門店アップルを運営する総合カーディーラーです。
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