CVTの故障は走行に支障をもたらしますし、最悪の場合は走行中に急に走行不可能になってしまうほどの重大な故障です。
修理をしようと思っても、ほとんどの場合は10万円以上の高額な費用がかかり、車種によっては同等の中古車が買えてしまうことも。
車を買い換えるにしても大きなお金が出ていくので判断に迷ってしまいますが、結論から言うとCVTが故障したら迷わず買い換えるのがおすすめです。
修理せずに車を売るなら、修復歴などがあるでも査定してくれる車買取の業者を選びましょう。
CVTの故障は原因を特定しにくい
CVTの故障にはさまざまな原因があり、特定の車種において「このメーカーの○○は△△がよく壊れる」といった傾向があることもあります。
トヨタの車であればトヨタのディーラー、ホンダの車であればホンダのディーラーに入庫するのが、問題解決の近道でしょう。
CVT本体内部の故障
CVTは精密機械で一定基準以上の修理は分解しません。
内部は非常に複雑で、現役の整備士であっても構造やそのはたらきを100%理解している人はほとんどいないのが実情です。
そのため、特定の部品が悪いところまで推測できても、分解できないためアッセンブリー交換となります。
CVTの各センサーの故障
CVTのセンサーの故障は、専用の診断機を車両に接続したり、テスター等を使用して判断します。
センサーを新品に交換すれば治るので、修理にかかる費用が比較的安くなることが多いです。
コンピューターのプログラム不良によるCVTの不具合
CVTには制御するためのコンピューター(コントロールユニット)があります。
制御プログラムのそのものの不良によるCVTの不具合は珍しい話ではありません。
プログラム内容を書き換えるリプログラミングで対応できる場合と、コンピューター(コントロールユニット)を交換する場合のふたつがあります。
CVT以外の故障が原因でCVT制御に影響が出ている
車は部品が故障したとき、危険やそれ以上の不具合が発生しないように、最低限の走行ができるようにコントロールする制御をおこなっています。
ドライバーはCVTに故障が起きてるように感じても、実際にはほかの部品が故障したことで起きてる症状の場合もあります。
適切なCVTオイルが使用されていない
CVT本体内部の故障と少しかぶる部分もありますが、CVTのオイルは各メーカーごとに指定されている純正オイルを使用することが大前提です。
これを守らずにオイル交換すると、動力を伝達するベルトが滑ってしまうといったCVT本体内部の不具合や故障につながる可能性があります。
CVTオイル漏れ
ガスケットやパッキンの劣化や不具合によってオイルが漏れて、CVTが必要とするオイル量が足りなくなると、CVTが正常なはたらきをしなくなります。
これは、CVT内部で作動する部品の中にオイルの油圧を使用しているものがあるためです。
オイルには部品の潤滑、冷却の役割もあるので、オイル量が足りてない状態で走り続けると、最悪の場合はCVT内部が焼き付いて高額な修理費用が必要になります。
少しでもオイル漏れが疑われるのであれば、早めに点検を受けるようにしましょう。
CVT故障の症状は発進時の振動
CVTはエンジンの力を適切な力に変換してタイヤへと伝える重要な動力源です。
CVTが故障したときの症状は先ほど紹介した原因によってかわってきますが、素人には症状と原因を結びつけるのは困難です。
- アクセルを踏んでも思うように加速しない
- エンジン回転だけが上がって加速しない
- 走行中に停まってしまう
- 意図しない加速や減速が発生する
- クリープしない
- 前進できない
- 後退できない
- シフト操作したときの変速ショックが大きい
- CVT内部から異音が発生(ガラガラ音など)
- 発進時や加速時、減速時に車体振動(ジャダー)が起きる
- エンジンチェックランプが点灯
これらのいずれかでも身に覚えがあるのであれば、CVT関連の故障が疑われます。
最悪の場合、走行不能になってしまうこともあるので、すみやかに整備工場に入庫して故障修理・メンテナンスのプロに相談しましょう。
走行中に走行不能になるようにことがあれば自分にとっても危険ですし、周りの交通状況に多大な迷惑をかけてしまうことになりかねません。
CVT故障の具体的な症状例(ジャダーが出る事例)
CVTの故障で有名なもののひとつで、ホンダのフィット(初代~2台目)はCVTのジャダーと呼ばれる不具合例が多数報告されています。
友人が乗っていた初代フィットは、発進時にラフなアクセル操作をしたときのみ0~30km/hまで車体の振動(ジャダー)が酷く、乗っていられないほど不快なものでした。
加速そのものは問題なく30km/h以降は振動もおさまり、ゆっくりアクセルを踏み込めば症状は出ませんでした。
当時、保証修理でCVTの載せ替えをしたのですが、その後症状が再発。
さすがに2回目は…と、走行そのものには問題はなかったために、修理を諦めて乗り続けていました。
CVTが故障する前兆は?
エンジンチェックランプが点灯するような故障は、前兆もなく突然チェックランプが点灯することがほとんどです。
その瞬間に異常な振動や異音が発生する場合もあれば体感できない場合もあります。
加減速に影響を及ぼすCVTの故障や異音・振動の発生は、徐々に症状が大きくなっていくことがほとんどです。
はじめのうちは不具合が発生していても気づきにくく、故障の前兆をつかむことは非常に難しいといえます。
現役の整備士であっても気づけないことがあるので、先ほど記述した症状一覧の項目に該当する場合は既に故障していると考えていいでしょう。
故障の程度によってはいつ止まってもおかしくないため、早めにプロに診断してもらうことをおすすめします。
CVTの修理費用は?交換になると30万円以上かかる
CVTの故障は修理費用、交換費用が高額になるケースがほとんどです。
CVT本体ではなく、周りの部品・センサー類の交換やオイル漏れ修理等で対応可能なら、1万円~10万円以内の修理費用でおさまることも。
CVTの修理費用は、おおまかに下記の3つに分けられます。
作業内容 | 費用 |
---|---|
CVTの周りの部品を交換 | 部品代は高いが工賃は比較的安い |
オイル漏れ等の修理 | 部品代は安いが工賃が高い |
CVT内部の部品を交換 | 部品代も工賃も高い |
CVT本体を交換する場合は非常に高額になり、車格やエンジン排気量が大きくなるにしたがって価格は高くなります。
しかし、必ず新品に交換するというわけではなくリビルト品や中古品を選べることもあるので、修理工場と相談しながら進めましょう。
新品交換にかかる費用
新品のCVTはもっとも高額です。
軽自動車でも25万円~30万円、一般的な国産の普通乗用車であれば30万円~80万円ほどかかります。
外車や特殊な車は100万円を超えることも珍しくありません。
現実的ではない修理費用に驚かれるかもしれませんが、メーカーから発送される新品部品とだけあって信頼性が高いことは違いありません。
故障が多い車種ならば、対策品に交換することも可能です。
リビルト品への交換費用
リビルト品とは、中古のパーツを元に新品に近い状態にオーバーホールされたものです。
実際の現場ではこのリビルト品のCVTを使った修理がもっとも多いといえます。
その理由は信頼性のあるオーバーホール品でありながら部品代を安く抑えることができるからです。
新品と比べてかかる費用は半分程度におさえられることも。
軽自動車だと15万円前後、一般的な国産の普通乗用車であれば15万円~40万円がリビルト品への交換費用の目安です。
中古品で交換するのにかかる費用
とにかく費用を安く抑えたい人には、中古品のCVTを使用するという選択肢もあります。
リビルト品とは異なり、元々ついていた車から取り外したそのままのもので、メンテナンスされていない状態のCVTです。
元々がどのような状態・メンテナンス履歴であったのか不明なので、交換直後にまた壊れることも。
ひどい場合は、そもそもが故障したCVTである可能性もあります。
安ければ数万円でCVTを交換できますが、リスクのある修理方法といえるでしょう。
現役整備士としてはおすすめできない修理方法です。
CVTのメーカー保証があれば無償修理が可能
CVTが故障したときは、まずあなたの乗っている車がメーカー・ディーラーが定める保証の対象内であるか確認しましょう。
自動車メーカーが用意する保証には、新車から3年または6万kmまでの「一般保証」と、5年または10万kmまでの「特別保証」の2種類あります。
一般保証は電装品等を中心とした保証で、特別保証は「走る・曲がる・止まる」の車の重要な3つの要素に関わる保証です。
CVTは5年または10万kmの「特別保証」に該当し、期間内であればユーザー側に過失がない限りは保証によって修理してもらうことができます。
特別保証
引用元:HONDA
クルマを構成する部品のうち、走行性能や安全性能、環境性能に関わる特に大切な部品が対象となります。
また、メーカー保証なので免責を支払うこともありません。
新車から5年または10万km以内でのCVTの故障であれば、ひとまず修理費用を心配する必要はなさそうです。
延長保証加入で5年目以降の出費に備える
各メーカーには延長保証プランが用意されています。
CVTの故障は、新車から5年目の車検時に加入できる延長保証プランに入っているかどうかもポイントです。
延長保証プランは加入条件として以下の2つを定めているメーカーがほとんどです。
- 3年または6万kmの一般保証を5年または10万kmに延長するプランに加入済
- 車検を含めた法定点検などのメンテナンスで正規ディーラーを利用している
中には走行距離が10万km未満でなければ加入できないといったルールのメーカーもあります。
延長保証プランに加入すると、「7年または14万km」や「7年距離無制限」の延長保証を受けることができます。
延長保証プランはメーカーによって微妙に異なるので、ディーラーの担当者に内容を確認しておきましょう。
年数、走行距離が増えてCVT故障のリスクが高まる中で、延長保証に加入していることは大きな強みになります。
CVTが故障した車を高く売る方法
CVT故障車はネットの一括車査定で売却するのがおすすめです。
一社だけの査定だと、故障している車ということで足元を見られたり、タダ同然で買い取られたりする可能性があるからです。
車買取店の中には、CVTが故障していると値段がつかない業者がいる一方で、壊れていても部品取りとして高く買取してくれる業者や独自の販売網があるので高く買取できる業者が存在します。
ただし、CVTが壊れていることは申込時や電話連絡の時点で伝えるようにしましょう。